大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)1693号 判決

然らば前記幡谷誠造の第三回供述調書につき刑事訴訟法第三百二十六条第一項所定の被告人が証拠とすることに同意したものであるかないかを審査するに、その証拠調の為された第七回公判調書の記載によると「谷中検察官は公判廷における各証人の供述と検察官に対する同人等の供述は異つているから刑事訴訟法第三百条により証拠として被告人及び弁護人等の同意した1乃至8の各証人の検察官に対する供述調書(前記幡谷誠造の第三回供述調書は之に該当する)の取調を請求すると述べた。裁判官は谷中検察官をして右証拠を提示させた上これを取調べるとの決定を宣した。谷中検察官は右書面を順次朗読した上(裁判官の許可を得て大場義正、大野貞雄の供述調書以外は謄本を)提出した。裁判官は被告人及び弁護人等に対し意見があるかどうかを問うたところ被告人及び橋本弁護人はないと述べた」旨記載されているのみであつてその何処にも前記検察官作成の幡谷誠造の第三回供述調書を証拠とすることに同意したと認むべき形跡がない。尤も前記々載中「被告人及び弁護人等の同意した1乃至8の各証人の検察官に対する供述調書云々」とあるも右は検察官が右各供述調書の取調を請求するに当り左様に述べたことを記載しているのみであつて、被告人及び弁護人が裁判官に対して右供述調書を証拠とすることに同意した旨記載したものとは到底これを解することができない。又「橋本弁護人及び被告人は右証拠調の請求について別に意見はないと述べた」との記載はあるもこれとて刑事訴訟規則第百九十条第二項に基く意見であつて、単に裁判官において証拠決定をする判断の資料に過ぎず刑事訴訟法第三百二十六条所定の同意とは全く異りこれを以て同条の同意があつたものとは到底解することができない。

(下略)

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